【2026年最新】UDトラックスの企業研究|いすゞ吸収合併の影響・強み・働き方・就職対策を徹底解説

企業研究レポート

2026年5月13日、いすゞ自動車は完全子会社のUDトラックスを2027年度中に吸収合併する検討に入ったと発表しました。1935年の創業から90年以上続いてきたUDトラックスは、法人としての役目を終え、いすゞの中の「ブランド」として残ることになります。

UDトラックスの親会社は、この20年ほどで日産自動車、スウェーデンのボルボ、いすゞと3度変わりました。それでも大型トラック「クオン」を軸に、国内の大型トラック市場で一定の地位を守り続けています。

この記事では、公表データを並べるだけでなく、「吸収合併は就職や取引にどんな意味を持つのか」「UDの強みは統合後も生きるのか」を読み解きます。就活生と、転職や取引を検討する社会人の両方が判断に使えるよう、表を中心に整理しました。

本記事の数値は2026年10月10日時点で公表されている資料と報道にもとづいています。UDトラックスは非上場で、売上高は2007年3月期を最後に公表されていません。業績面はいすゞ自動車の開示と報道から読み取っています。

目次

  1. UDトラックスとは|大型トラックに強い90年の老舗
    1. 基本データ
    2. 日産ディーゼルからUDへ|3度変わった親会社
    3. 「UD」の名前の由来
  2. いすゞによる買収と吸収合併|UDに何が起きているのか
    1. 2021年の買収|企業価値2,430億円の中身
    2. 2027年度の吸収合併|発表の内容
    3. 国内の販売機能はすでに統合が進行中
    4. 合併で「変わること」と「変わらないこと」
  3. 製品と技術|大型トラック「クオン」を中心とした事業
    1. 主力製品のラインアップ
    2. 2026年型クオン|3種類のエンジンと12速AT
    3. いすゞとの共同開発の成果
    4. 自動運転と作業の自動化への取り組み
  4. 市場でのポジション|いすゞ・UD連合の大型トラック担当
    1. 国内シェアは4社中4位、伸び率は2025年に首位
    2. いすゞ・UD連合とアーチオンの二強体制
    3. 「業績が見えない」という特殊事情
  5. 強みと課題|統合で生きる力、問われる力
    1. 強み1:大型トラックとトラクターでの実績
    2. 強み2:いすゞとの役割分担が明確
    3. 強み3:長い技術の蓄積
    4. 課題:高い平均年齢と収益力の立て直し
  6. 働き方と社風|数字で見るUDトラックスの職場
    1. 従業員データと採用実績
    2. 働き方の数字を他社と比べる
    3. 合併後の雇用と処遇をどう考えるか
  7. 就職・転職・取引の判断ポイント
    1. 新卒の就職で押さえたいこと
    2. 選考に向けて準備したい3つの論点
    3. 転職者が確認すべきこと
    4. 取引検討者が注視すべき5つの指標
  8. まとめ|UDトラックスは「会社」から「ブランド」へ。大型トラックの担い手としての価値は続く
  9. 出典・参考サイト

UDトラックスとは|大型トラックに強い90年の老舗

埼玉県上尾市に本社を置き、大型トラックの開発・生産・輸出・販売を手がけるのがUDトラックスです。中型・小型トラックは自社では開発せず、いすゞ製の車両を販売しています。「大型トラックに特化したメーカー」という点が、UDを理解する出発点になります。

基本データ

就職情報サイトとUDの公表情報から、主な数字をまとめました。

項目内容
社名UDトラックス株式会社
本社埼玉県上尾市
創業1935年12月1日
設立1950年5月1日
資本金100億円
親会社いすゞ自動車(出資比率100%、2021年4月から)
従業員数(国内)6,592名(2026年3月末)
事業展開60以上の国と地域
売上高非公開(最後の公表値は2007年3月期の4,662億円)
UDトラックスの基本データ

売上高を公表していない点は、取引を検討する人にとって重要です。UDの業績は、親会社いすゞの連結決算の中に含まれる形でしか見えません。

日産ディーゼルからUDへ|3度変わった親会社

UDトラックスの歴史は、そのまま日本のトラック業界の再編の歴史でもあります。

年出来事
1935年日本デイゼル工業として創業
1953年日産自動車が資本参加
1960年日産ディーゼル工業に社名変更。大型トラックメーカーとして知られる
1990年代後半経営再建の局面に。ダイムラーとの交渉は不調に終わり、ルノー・日産のもとで再建
2007年日産が保有株をボルボに売却し、50年以上続いた資本関係が終わる
2010年UDトラックスに社名変更
2021年4月いすゞがボルボから買収し、いすゞグループに加入
2026年5月いすゞが2027年度中の吸収合併の検討を発表
UDトラックスの主な歩み

親会社が変わるたびに、UDは異なる経営文化と向き合ってきました。ボルボ時代には、ボルボが北欧の鉱山で進めていた自動運転の知見を共有されるなど、海外の大手の技術と経営手法に触れた経験を持っています。今回のいすゞへの合併は、その長い再編の最終段階と位置付けられます。

「UD」の名前の由来

「UD」は、創業時に使われていたエンジン技術の名称に由来します。日産との資本関係が終わったあとの2010年、会社は日産ディーゼル工業からUDトラックスへと社名を変え、創業時の技術の名前を会社の顔に掲げました。

いすゞは吸収合併後もUDブランドを残すとしており、90年続く技術の名前は、法人がなくなっても製品の上で生き続けることになります。

いすゞによる買収と吸収合併|UDに何が起きているのか

UDトラックスを研究するうえで、最も重要なのがいすゞとの関係です。2021年の買収から2027年度の吸収合併まで、何が起きているのかを順に整理します。

2021年の買収|企業価値2,430億円の中身

いすゞは2019年12月にボルボとの覚書を結び、2021年4月1日にUDトラックスの全株式を取得しました。基本契約で示されたUDの企業価値は2,430億円です。

項目金額
株式取得の対価(調整後)568億9,800万円
条件付取得対価18億8,000万円(事業計画の達成度に応じ、上限150億円)
いすゞが代わりに返済した借入金2,615億3,400万円
ボルボへの支払い総額3,203億1,200万円
いすゞによるUDトラックス買収の主な金額(いすゞの開示にもとづく)

この数字からは、株式の価値よりも、UDが抱えていた借入金の肩代わりのほうがはるかに大きかったことがわかります。いすゞが支払った総額のうち、株式の対価は約2割にとどまり、約8割はUDの借入金の返済に充てられました。

いすゞがこの買収で得たかったのは、自社の弱みだった大型トラックと、アジアの販売網です。中型・小型に強いいすゞが、大型に強いUDを取り込むことで、品ぞろえの穴を埋める狙いでした。ボルボとは、自動運転・コネクテッド・電動化の共同開発を柱とする戦略的提携も結んでいます。

用語解説
企業価値:株式の価値に、借入金などの負債を加えた会社全体の価値。
代位弁済:本来の債務者に代わって、第三者が借入金を返済すること。いすゞはUDの借入金を肩代わりして返済しました。

2027年度の吸収合併|発表の内容

2026年5月13日の決算説明会で、いすゞは2027年度中にUDトラックスを吸収合併する検討に入ったと発表しました。

項目内容
発表日2026年5月13日
時期2027年度中(検討段階)
方式いすゞがUDトラックスを吸収合併し、UDは法人として消滅
ブランドUDブランドは継続
目的高い付加価値の創出と意思決定の迅速化
吸収合併の発表内容

山口真宏社長は、今回の合併を買収の最終段階と位置付けました。そのうえで、狙いはリストラによるコスト削減ではなく、足りない部分を補うために経営資源を柔軟に配置することだと説明しています。

背景には、2026年4月に日野自動車と三菱ふそうが経営統合した「アーチオン」の誕生があります。競争相手が統合で規模を大きくするなかで、いすゞとUDの間に残る法人の壁を取り払い、意思決定を速くすることが合併の本質です。

国内の販売機能はすでに統合が進行中

吸収合併に先立ち、国内の販売機能の統合はすでに始まっています。2026年10月1日、UDの近畿地域の販売機能がいすゞ自動車近畿(大阪府守口市)に移りました。

時期対象地域
2026年10月近畿
2027年1月中国・四国、九州
2027年4月東北、関東、中部
国内販売機能の統合スケジュール

統合後の販売会社は、いすゞの販売会社の名前を引き継ぎます。両ブランドの製品とサービスは続け、拠点・人材・技術・ノウハウを共通化して販売とアフターサービスを効率化するとしています。

合併で「変わること」と「変わらないこと」

公表内容から、合併の影響を整理すると次のようになります。

区分内容
変わること法人としてのUDトラックスがなくなる
変わること国内の販売機能がいすゞの販売会社に一本化される
変わること経営の意思決定がいすゞに一本化される
変わらないことUDブランドとクオンなどの製品
変わらないこと両ブランドの製品とサービスの提供
吸収合併で変わること・変わらないこと

日本の会社法では、吸収合併によって消滅する会社の権利義務は、存続する会社にまとめて引き継がれます。UDの社員の雇用契約も、原則としていすゞに引き継がれることになります。ただし、合併後の具体的な処遇や配属の扱いは公表されていません。

製品と技術|大型トラック「クオン」を中心とした事業

UDの事業の中心は、大型トラック「クオン」です。いすゞのグループに入ってからは、自社の大型車と、いすゞ製の中型・小型車を組み合わせて販売しています。

主力製品のラインアップ

UDが販売する主な製品は次のとおりです。

区分内容
大型トラッククオン(自社開発・生産)。カーゴ、ミキサー、ダンプ、除雪車など13種類
トラクタークオンのトラクター(トレーラーを引くけん引車)
中型・小型トラックいすゞ製の車両を販売
アフターサービス整備、補修部品の販売
UDトラックスの主な事業と製品

マイナビの企業紹介では、UDはトラクター(トレーラーヘッド)で業界首位のシェアを持つとしています。このシェアの数字は公表されていませんが、長距離の幹線輸送で使われるトラクターでの実績は、UDの強みの中心です。

用語解説
トラクター(トレーラーヘッド):荷台を持たず、荷物を積んだトレーラーを引っ張るための車両。トレーラーを付け替えれば1台で多くの荷物を運べるため、物流の効率化で需要が高まっています。

2026年型クオン|3種類のエンジンと12速AT

2025年12月9日、UDは2026年型のクオンを発表し、同日発売しました。全車が直列6気筒のディーゼルターボエンジンを積み、3種類の排気量から選べます。

エンジン排気量最高出力
GH87.7リッター357馬力
GH1110.8リッター370〜460馬力
GH1312.8リッター470〜530馬力
2026年型クオンのエンジン

全車に電子制御の12速AT「ESCOT-VII(エスコット・セブン)」を標準装備しています。雪道やぬかるみでの発進のしやすさにも配慮した変速の制御は、UDが長年磨いてきた技術です。衝突被害軽減ブレーキ「トラフィックアイブレーキ」は、歩行者への緊急制御の新しい基準に対応しました。

排気量の違うエンジンを3種類そろえているのは、荷物の重さや走る距離に合わせて、燃費と力強さのバランスを顧客が選べるようにするためです。積載量が軽い用途で小さなエンジンを選べば、燃料代を抑えられます。

いすゞとの共同開発の成果

2023年3月、いすゞとUDは初の共同開発モデルとなる大型トラクター「ギガ」と「クオン」を発表しました。両車は車体の寸法と最大積載量(1万1,500kg)を共通にしながら、エンジンと変速機はそれぞれの技術を使っています。

項目いすゞ ギガ(4×2)UD クオン(4×2)
エンジン10.8リッター直列6気筒12.7リッター直列6気筒
最高出力460馬力530馬力
変速機ESCOT-VIESCOT-VII
最大積載量1万1,500kg1万1,500kg
2023年に共同開発された大型トラクター

同じ車体を使いながら、ギガは小さめのエンジンで積載効率を、クオンは大きなエンジンで力強さを重視する住み分けができています。UDの最高技術責任者は、いすゞグループに入ったことで13年ぶりに6×4のモデルを復活させられたと述べており、グループ化が品ぞろえの拡大につながった例と言い換えられます。

自動運転と作業の自動化への取り組み

UDは2019年8月、北海道斜里町のホクレンの製糖工場の構内と公道で、大型トラックのレベル4自動運転の実証を行いました。日本で初めての大型トラックによる実証とされています。

2026年5月のジャパントラックショーでは、トラクターとトレーラーの連結を自動化する装置を付けたクオンを展示しました。これまで運転手が車両によじ登って行っていたケーブルの接続が不要になり、作業の安全性と時間の短縮につながるとしています。

自動運転のような大きな技術だけでなく、運転手の負担を一つずつ減らす技術に取り組んでいる点は、運転手不足が深刻な物流業界の課題に直結しています。

用語解説
レベル4自動運転:特定の条件や区域の中で、システムが運転のすべてを担い、運転手を必要としない段階の自動運転。
AT(オートマチックトランスミッション):変速を自動で行う装置。大型トラックでは運転手の疲労軽減と燃費の改善に役立ちます。

市場でのポジション|いすゞ・UD連合の大型トラック担当

国内のトラック市場は、いすゞ・UD連合とアーチオン(日野・三菱ふそう)の二強体制に変わりました。そのなかでUDがどの位置にいるのかを確認します。

国内シェアは4社中4位、伸び率は2025年に首位

2025年(暦年)の国内の大型・中型トラック販売では、UDの伸び率が4社で最も高くなりました。

メーカー前年比
UDトラックス17.1%増
いすゞ9.8%増
日野2.1%増
三菱ふそう約10%減
2025年の国内大型・中型トラック販売の前年比

いすゞは、両社の商品のすみ分けが進んだことで、UDが大型トラックの拡販に集中できたと説明しています。

2026年1〜6月の販売台数(合計3万7,374台)では、UDは4社中4位です。

メーカー販売台数前年同期比概算シェア
いすゞ14,877台5.1%減約39.8%
日野9,728台2.3%増約26.0%
三菱ふそう6,677台22.4%増約17.9%
UDトラックス6,092台0.9%増約16.3%
国内大型・中型トラックのメーカー別販売台数(2026年1〜6月)

※概算シェアは、販売台数を合計台数で割って算出しています。

UDの台数は三菱ふそうとの差がわずか585台で、3位と4位はほぼ横並びの状態です。ただし、UDの販売の中心は大型トラックであり、中型を含むこの集計では実力が小さく見える点に注意が必要です。

いすゞ・UD連合とアーチオンの二強体制

グループ別では、2026年1〜6月のいすゞ・UD連合のシェアは56.1%で、アーチオンの43.9%を上回っています。ただし前年からは3.1ポイント下がっており、アーチオン側の三菱ふそうの回復に押される形になりました。

アーチオンは2032年度に国内シェア50%超を目標に掲げています。いすゞ・UD連合がシェアを守れるかどうかは、大型トラックを担うUDの販売力にかかっている部分が大きいと考えられます。

「業績が見えない」という特殊事情

UDは非上場で、売上高も利益も公表していません。いすゞの開示によると、買収が期首に行われたと仮定して算出した営業利益への影響額は約10億円で、売上高への影響額(約670億円)に比べると利益は薄い水準でした。

企業の買収を分析するサイト「the-shashi」は、いすゞの買収について、UDの収益力の立て直しが課題として残っていると指摘しています。いすゞの2026年3月期の連結決算では、UDに関するのれんが152億1,300万円計上されています。

UDの業績は単独で公表されていないため、取引の与信判断では親会社いすゞの連結決算を基準にすることになります。いすゞの2026年3月期の売上収益は3兆4,791億円、自己資本比率は40.4%です。合併後はいすゞ本体との取引になるため、取引条件や窓口の変更について早めに確認しておくことをおすすめします。

用語解説
のれん:企業を買収したときに、支払った金額が買収先の純資産の時価を上回った分。買収先の将来の稼ぐ力への期待を表し、その稼ぐ力が想定を下回ると、価値を引き下げる損失(減損)を計上することがあります。

強みと課題|統合で生きる力、問われる力

吸収合併によって、UDの強みはいすゞグループの中でどう生き、どんな課題が残るのでしょうか。

強み1:大型トラックとトラクターでの実績

1960年代から大型トラックのメーカーとして知られてきたUDは、トラクターで業界首位のシェアを持つとしています。12.8リッターのエンジンと12速ATを組み合わせた大型車は、いすゞの品ぞろえにない領域を補っています。

物流業界では、1台で多くの荷物を運べるトラクターとトレーラーの組み合わせへの需要が高まっています。運転手不足のなかで「1人の運転手が運べる量」を増やす手段として、UDの得意分野は今後も需要が見込めます。

強み2:いすゞとの役割分担が明確

いすゞは小型・中型、UDは大型という分担が、2021年からの5年間ではっきりしてきました。2025年のUDの販売が17.1%伸びたのは、この分担によってUDが大型トラックに集中できた結果です。

合併後も分担が続けば、UDの技術者や営業担当者は大型トラックの専門家として、グループ内で明確な役割を持ち続けると考えられます。

強み3:長い技術の蓄積

90年の歴史のなかで、UDは日産、ボルボ、いすゞという異なる親会社の技術に触れてきました。12速AT「ESCOT」や、日本で初めての大型トラックのレベル4実証は、その蓄積の成果です。

課題:高い平均年齢と収益力の立て直し

UDの課題は、次の表のように整理できます。

区分内容今後の見立て
強み大型トラック・トラクターでの実績運転手不足で需要が続く分野。合併後も中核を担う
強みいすゞとの明確な役割分担合併で意思決定が速くなれば、さらに生きる
強み自動化・ATなどの技術の蓄積いすゞの自動運転の開発に生かせるかが焦点
課題社員の平均年齢46.3歳技術の継承を急ぐ必要がある
課題収益力の立て直し単独の業績が公表されず、改善の度合いが外から見えにくい
課題国内の大型・中型で4位三菱ふそうの回復で3位争いが激しくなっている
UDトラックスの強みと課題

特に目を引くのが平均年齢です。UDの国内社員の平均年齢は46.3歳で、いすゞ(40.1歳)より6歳以上高く、日野(42.4歳)や三菱ふそう(44.6歳)も上回っています。熟練の技術者が多い一方、若手への技術の継承が急務であることを示す数字です。新卒採用を2023年の22名から2025年には38名まで増やしていることは、この課題への対応と読めます。

働き方と社風|数字で見るUDトラックスの職場

UDは非上場のため、有価証券報告書による平均年収の開示はありません。ここでは、就職情報サイトに掲載された数字をもとに職場の姿を見ていきます。

従業員データと採用実績

マイナビに掲載されたUDの従業員データと採用実績は次のとおりです。

項目内容
従業員数(国内)6,592名(2026年3月末)
平均年齢46.3歳
平均勤続年数15.4年(2024年度)
新卒採用(2023年卒)22名
新卒採用(2024年卒)24名(定着率95.8%)
新卒採用(2025年卒)38名(定着率100%)
新卒採用(2026年卒、予定)29名(男性23名、女性6名)
UDトラックスの従業員データと新卒採用実績

※同じページの別の表では、2026年の採用人数が28名と記載されています。

働き方の数字を他社と比べる

国内の大型トラックメーカーの働き方を、就職情報サイトの掲載データで比べると、UDの特徴がはっきりします。

会社月平均の所定外労働時間平均有給取得日数男性の育児休業取得率
UDトラックス10.3時間(2024年度)14.5日(2024年度)96.0%(2024年度)
日野自動車18.8時間(2024年度)17.8日(2024年度)74.8%(2024年度)
三菱ふそう3.7時間15.4日(2025年度)48.8%(2025年度)
国内トラックメーカーの働き方の比較

※各社の数字はマイナビの企業紹介ページの掲載値で、集計の年度や定義が会社ごとに異なる可能性があります。

最も目立つのは、男性の育児休業取得率96.0%(対象25名中24名)です。対象者のほぼ全員が取得しており、制度が形だけでなく実際に使われていることを示しています。残業は月10.3時間と、日野と三菱ふそうの中間に位置します。

マイナビの企業紹介では、フレックス制度、在宅勤務、社内公募制度など、柔軟な働き方とキャリアの機会を打ち出しています。

合併後の雇用と処遇をどう考えるか

就職や転職を考える人にとって最大の関心は、合併後の雇用と処遇です。吸収合併では雇用契約が存続会社に引き継がれるため、UDの社員は原則としていすゞの社員になります。

いすゞの2026年3月期の平均年収は838万円です。UDの平均年収は公表されていないため、合併で処遇がどう変わるかは現時点ではわかりません。給与制度や勤務地、配属の扱いがどう統一されるかは、合併の詳細が公表された段階で必ず確認すべき点です。

合併後の人事制度や処遇は、2026年10月時点で公表されていません。インターネット上の口コミなどで「合併後の年収はこうなる」といった情報を見かけても、公式の発表で確認できるまでは判断材料にしないよう注意してください。

就職・転職・取引の判断ポイント

吸収合併を控えたUDに、今から関わることにはどんな意味があるのでしょうか。立場ごとに判断のポイントを整理します。

新卒の就職で押さえたいこと

2027年4月以降に入社する場合、在籍中にいすゞとの合併を迎える可能性が高くなります。応募を考えるなら、次の点を押さえておきましょう。

  • 入社する会社と、数年後に所属する会社が変わる可能性がある
  • 大型トラックの専門家としてのキャリアは、合併後もいすゞグループの中で続く見込み
  • 初任給、勤務地、選考フローは年度によって変わるため、UDの公式採用ページで必ず最新の募集要項を確認する
  • 合併後の処遇は未公表のため、説明会や面接で質問して確認する

逆に言えば、UDに入ることは、大型トラックに強みを持つ専門部隊としていすゞグループに加わることでもあります。売上収益3兆円を超えるいすゞの経営基盤と、UDの大型トラックの専門性の両方を得られる立場です。

選考に向けて準備したい3つの論点

就職情報サイトには、UDの公式な「求める人物像」の記載が見当たりません。ここで挙げるのは公式の選考基準ではなく、企業研究にもとづいて考えを整理しておきたい論点です。

  • なぜ大型トラックなのか:小型・中型ではなく、トラクターや大型トラックに関わりたい理由を、物流の課題と結び付けて語れるか
  • 変化をどう受け止めるか:親会社が3度変わり、合併を控えた会社で、自分はどう成長したいか
  • 技術の継承にどう関わるか:平均年齢46.3歳の職場で、ベテランから何を学び、何を新しく持ち込めるか

たとえば、運転手不足を「1人の運転手が運べる量を増やす」という視点で捉え、UDのトラクターや連結の自動化技術と結び付けて話せれば、UDの事業を深く理解していることが伝わります。

転職者が確認すべきこと

中途で入社する場合、合併の前後で担当業務や所属が変わる可能性があります。面接の逆質問では、次の点を確認しておくと安心です。

  • 配属予定の部署が、合併後にいすゞのどの組織に移る見込みか
  • 大型トラックの開発や販売の専門性が、合併後も生かせる役割か
  • 給与制度や勤務地の扱いについて、現時点で決まっていることは何か

取引検討者が注視すべき5つの指標

UD単独の決算は公表されないため、いすゞの開示と業界データから状況を読み取る必要があります。

指標確認する場所
吸収合併の正式決定と効力発生日いすゞのニュースリリース
国内販売機能の統合の進み具合(2027年4月に完了予定)いすゞ・UDの発表
国内の大型・中型トラックでのUDの販売台数業界団体や報道の月次・半期データ
いすゞの2027年3月期の営業利益(見通し2,600億円)いすゞの決算
UD関連ののれん(152億1,300万円)の減損の有無いすゞの有価証券報告書
取引検討者が注視したい指標

まとめ|UDトラックスは「会社」から「ブランド」へ。大型トラックの担い手としての価値は続く

UDトラックスは、1935年の日本デイゼル工業から始まり、日産、ボルボ、いすゞと3度親会社を変えながら、大型トラックのメーカーとして90年以上歩んできました。2021年にいすゞに加わり、2027年度中にはいすゞに吸収合併される予定です。法人としてのUDはなくなりますが、UDブランドとクオンは製品として残ります。

いすゞによる買収では、ボルボへの支払い総額3,203億円のうち約8割がUDの借入金の返済に充てられました。買収時に開示された営業利益への影響額は約10億円と薄く、収益力の立て直しが課題とされてきました。それでも、いすゞとの「小型・中型はいすゞ、大型はUD」という分担が定着し、2025年の国内販売は4社で最も高い17.1%の伸びを記録しています。

強みは、トラクターを中心とする大型トラックの実績、3種類のエンジンと12速ATを組み合わせたクオンの製品力、自動運転や連結の自動化に取り組む技術の蓄積です。課題は、国内社員の平均年齢46.3歳という技術継承の問題と、単独の業績が見えにくいことにあります。

読者別のチェックポイント

  • 就活生:入社後にいすゞとの合併を迎える可能性が高い。大型トラックの専門家としてのキャリアを描けるかと、合併後の処遇を説明会や面接で確認する
  • 転職者:合併の前後で所属や業務が変わる可能性がある。配属先の合併後の位置付けを面接で確認する
  • 取引検討者:UD単独の業績は公表されないため、いすゞの連結決算(自己資本比率40.4%)を与信の基準にする。合併後の取引窓口の変更に備える

アーチオンとの二強体制のなかで、いすゞ・UD連合がシェアを守れるかどうかは、大型トラックを担うUDの販売力に左右されます。UDトラックスは会社としての歴史を閉じても、いすゞグループの大型トラックの担い手としての役割は、むしろ重くなっていくと見られます。

出典・参考サイト

コメント

タイトルとURLをコピーしました